私も高校時代に当然のことながら、夏休みの宿題として課題図書なるものを読まされました。生徒の好みというよりも教師が考える生徒に相応しいという内容の本でした。道徳的な内容であり、こういうことを感じ取ってほしいという意図があったのではないでしょうか。生徒が思う興味を惹かれるものではありませんでした。まあ、そういうものだろうと思っていました。そして、待っているのが、読後感想文です。突拍子もないことを書くわけにはいきません。私はそんなへそ曲がりでもありませんので、教師の意図するような感想を書くわけです。よく使ったのが本の終わりの部分にある解説です。それをアレンジしてまとめるわけです。今はやりのコピペの走りです。教師は解説の剽窃ということに気づかず、「君、うまいね」と言ってくれ、妙な気分になったものです。返却された感想文には判が押してあるだけで添削とか、評価はなかったように記憶しています。前置きが長くなりましたが、自分自身の経験に立脚して、本校では、というか私としては、全校120名の生徒全員に各自のレベルに合わせて読みたい本を出させて提供しています。今のところ感想文も書かせていません。大体、それで読書が嫌いになるのではないでしょうか。今まで読書とは無縁だった生徒も読書の習慣が定着しつつあります。読書が面白いと言ってくれます。視野が広くなったとか、漢字を覚えたとか、世の中にはいろいろなものの見方、価値観があることを知ったとの感想を寄せてくれました。生徒が読む本のレベルも上がって来た印象があります。読書は生きるためのチャートだと思いますし、心のビタミンだと思いますので、これからますます、生徒たちに本の楽しさを伝えていきたいと考えています。